知らないと危険! 他の相続人の相続税を支払うはめになる可能性が!

ある日いきなり、他の相続人の相続税を支払えという通知が…

遺産分割を終えて、相続税の申告と納付も完了。これで相続は終わった。普通はそう考えると思います。

しかし、自分の相続税を支払ったにもかかわらず、いきなり納税を求める通知書が届く可能性があるという事をご存知でしょうか?

実は相続税には連帯納付義務があり、相続人の誰かが税金を滞納すれば、相続で受けた利益を上限としてお互いに連帯して納税する義務を負う、と相続税法で定められているのです。

いつ、どれだけの請求がくるかわからない恐怖

連帯納税義務が発生するのは、次のようなケースです。

  • 遺産は相続したけれど使ってしまい、相続税を納められなくなってしまった
  • もともとあった借金の返済に相続した財産を充ててしまった
  • 延納を払いきれなくなってしまった

税務署が本人に相続税を支払うように督促、調査などを行い、相続税を支払う資力がないことを認めた場合に、その他の相続人が連帯納税の義務を負うことになります。

他の相続人がどういうタイミングで、どの程度の額の相続税を支払えなくなってしまったかをあらかじめ把握しておくのは困難です。何も知らないうちに、いきなり連帯義務のある旨の通知が届いて大慌てすることになる可能性が高い、非常に恐ろしい制度なのです。

そしてもし、これを不服として訴えたとしても、勝てる見込みはほとんどないのが現状です。

国税不服審判所の連帯納付義務に関する裁決要旨

http://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0803000000.html

廃止を求める声が多いものの、改正に留まる

納税者にとっては「不意打ち」とも言える過酷な連帯納付義務制度。従来より、この規定の廃止等を求める声が多く上がっていました。

未だ廃止には至っておりませんが、平成24年の税制改正で以下のような見直しが行われました。

連帯納付義務の解除要件

次のいずれかの要件に該当する場合は、連帯納付義務が解除されます。

  • 相続税の申告期限等から5年経過しても、連帯納付義務者に納付通知書が発せられていない場合。
    (相続税の申告期限から5年経っても、相続人の誰もが滞納がない場合。)
  • 納税義務者が納税猶予、又は延納を受けた場合
    (相続人全員が延納の適用を受ければ、その時点で連帯納付義務は解除されます。納税猶予とは、農地や非上場株式等を相続した場合に、特例で相続税の納税を猶予されることを言います。)

延滞にかかる追加納税率の緩和

これまでは、法律で定められていた納期限後2ヶ月以降は年14.6%の割合を乗じた「延滞税」が請求されてきましたが、改正後は、年4.3%の割合を乗じた「利子税」を納付することとなりました。

相続の際に、気をつけるべきことは

見直しが行われたとはいえ、やはり気が気でない制度である連帯納付義務。いきなり多額の相続税を支払うことになるようなトラブルを避けるためには、遺産産分割協議の際に、相続税の納税についても考慮に入れた話し合いをしておくことが賢明です。

借金のある相続人、浪費癖のある相続人がいるような場合は、特に注意が必要です。


​この記事は 2016年03月23日 に公開されたのものです。

記事の正確性には細心の注意を払っておりますが、記事公開後の法改正やガイドラインの変更などの影響により、記事閲覧時における最新の情報とは異なる内容である可能性があります。

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