直筆の遺言状が無効にならないために最低限守るべき、6つのポイント

法的な効力を否定されない遺言を書くためには

直筆で書く自筆証書遺言は、費用もかからず、思い立ったときにご自分だけで作成できるため、多くの方が利用する遺言の方法となっています。気軽に作成できる半面、民法で定められた要件を守って作成しないと法的に無効となるので、書き方には注意が必要です。

実際の相続の現場でも、要件を満たしていないために無効になってしまうケースが多いのが、直筆の遺言状です。ここでは、せっかく作成した遺言書を無効にしないために「最低限」気をつけなくてはならないつのポイントについてご説明いたします。

直筆遺言証書が無効にならないための6つのポイント

  • 全てご自分で、手書きします。
  • 日付は正確に記載します。
  • 遺言をする人の氏名を書きます。連名は不可。
  • 押印をします。
  • 訂正は、民法の規定に従う形で行います。修正液、修正テープなどは使用できません。
  • 遺言の内容は明確に。

代筆や、パソコンやワープロ等で作成されたものは無効です

直筆証書遺言は、すべて自分で直筆で書くことが要件になっています。一部でも他人に代筆してもらったら、遺言書の全体が無効となってしまいます。

また、パソコンなどで作成された遺言状も、無効となります。

日付は最後まで正確に。「○月吉日」では、無効になります

日付のない遺言状は無効となるため、遺言の全文を書き上げた日付を正確に記入します。日付を「吉日」としてしまうと無効になるため、作成の際にはご注意ください。

遺言は何度でも作成することができるので、複数の遺言状が発見される場合があります。そのような場合には、日付が一番新しいものが優先されます。

遺言をする人の氏名の記載と、押印が必要です

誰の遺言状かを明らかにするため、氏名の記載は必須です。芸名、屋号、ペンネーム、通名で書かれた遺言であっても本人が特定できれば無効にはなりません。

しかし、遺言の内容に納得できない相続人が「本名で書かれていないないから無効」と主張して、裁判を起こす可能性などがあります。リスク回避の観点からは、戸籍上の氏名を記載したほうが安全だといえます。

本名であっても、他に同一の氏名の人がいそうなお名前であれば、本人を特定するために住所や生年月日を付記しておいたほうがよいでしょう。

また、連名での遺言は無効となります。遺言をする方、単独のお名前を記載するようにご注意ください。

遺言の削除、追加、変更は、ルールに則って行います。

自筆証書遺言に記載した内容、文字に誤りがあった場合や、抜けていた部分を追加したい場合などには、定められた訂正方法によって行われなければなりません。 誤った方法で訂正した場合は訂正が無効となります。

追加する場合(法律上は「加入」と表現)

  • 文や言葉を加入したい箇所に加入の記号(「く」の字)を付けます
  • 「く」の字の中に加入したい文や言葉を書き加えます。
  • 加入したい箇所に遺言に押印したものと同じ印鑑で押印します。
  • 加入した行の欄外に本文○字加入と書き署名します。

削除する場合

  • 削除したい箇所を原文が読めるように二重線で消します。
  • 削除する部分に遺言に押印したものと同じ印鑑で押印します。
  • 削除した行の欄外に本行○字削除と書き署名します。

訂正する場合

  • 訂正したい箇所を原文が読めるように二重線で消します。
  • 訂正する箇所に遺言に押印したものと同じ印鑑で押印します。
  • 訂正した行の欄外に本文○字削除 ○字加入と書き署名します。

部分的に修正したいような場合には、上の方法で訂正をすることができますが、修正箇所が多いようであれば、遺言を書きなおしたほうが無難です。

実際の相続の現場では、厳格な訂正のルールを無視して、単に二重線を引いただけであったり、修正液や修正テープで訂正されている場合も少なくありません。

そのような場合は遺言の有効性が問題になりますが、重大な訂正では遺言自体が無効になる可能性があり、そうでない場合は、訂正前の内容が有効な内容として扱われることになるようです。

誰に、何を、どれだけ。遺言の内容はできるだけ明瞭に。

形式を守っていたとしても遺言の内容が不明確である場合には、その不明確な部分が無効になる場合があります。遺言全体の内容が不明確である場合には、遺言全体が無効になる可能性もあります。

例えば、既に売却した土地を、まだ持っていると勘違いして遺言の内容に入れてしまったり、子供が2人いるのに「土地は子に相続させる」とだけ書いてあって、「どの子にどれだけの土地を」相続させるかわからないというケースなどがあります。

自筆遺言の場合は一人で考えて書きますから、自分ではわかるように書いたつもりでも、本人以外の人には意味不明であったり、どうにでも解釈できる内容であったりすることが多々あります。書いた遺言に不安があるようであれば、専門家に相談してみることをおすすめ致します。


​この記事は 2016年05月26日 に公開されたのものです。

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