​【有名人の相続トラブル】京都の紅茶王の婚外子、10年にも及ぶ泥沼の相続争い

残された遺産が少なすぎるのではないか

資産家の親をもつ相続遺産をめぐるトラブルで有名な一件。

京都の紅茶王と呼ばれた日本リプトンの創業者、 福永兵蔵氏。兵蔵氏は英国紅茶「リプトン」のティーショップを1930年に京都市で開き、紅茶文化を日本に広めた人物として有名でした。飲食業なども幅広く展開し、1代で年商60億円もの事業を築き上げました。

しかし、そんな資産家である兵蔵氏が亡くなった際(2005年、101歳で死去)に、婚外子である城生真里さんに遺されたのがわずか「7万8002円」だった事から、 10年にも及ぶ争続問題に発展してしまいました。

義母兄弟との10年戦争 流れ

  • 2005年 リプトン社長 101歳で死去。
  • 2006年 遺産7万8002円 義母兄弟側から通告。
  • 2007年 長男らが真里さんを相手取り「債務不存在確認訴訟」を起こす。
  • 2009年 真里さんが「遺産請求訴訟」を提起。
  • 2010年 遺産3000万円 京都地裁 和解案。(不成立)
  • 2013年 遺産588万7121円 京都地裁 判決
    →遺産を約3億円と認定して算出。
    真里さんは「氏の遺産は20億円はあるはず。最低でも7000万円受け取れる。」と主張し控訴。
  • 2015年6月 6500万円 大阪高裁 和解案。(不成立)

真里さんの生い立ち

兵蔵氏が50代の頃に真里さんの母親と知り合い交際、8年後に真里さんが生まれした。しかし当時の兵蔵氏は妻子があったため、真里さんの母親とは結婚できずに真里さんの認知だけを行いました。

それでも兵蔵氏と母親の仲は良好だったようで、子どもの頃には毎日のように動物園に連れていってもらった思い出があるとの事です。しかし真里さんが小学校に上がる頃に兵蔵氏と母親は別れてしまい、それからは兵蔵氏とは会わなくなりました。

義母兄弟

兵蔵氏には2度の結婚で真里さんの他に6人の子供がおり、真里さんにとっては異母兄弟にあたります。現在の法律では真里さんも他の6人の兄弟と同じ相続分になるはずなのですが、これが平等ではないのではないか、というのが今回の争点でもあります。

「婚外子」の相続は実際どうなるものなのか

未婚の父と母の間に生まれた子ども「婚外子」の相続について。

認知がなされていれば、通常の子と同様の相続分となり、正式な「法定相続人」に該当します。 遺言書があった場合でも遺留分の請求が可能です。

2013年12月5日に民法が改正。
非嫡出子も認知があれば嫡出子(結婚している夫婦の間の子)と相続分を同等となります。

改正前後の取り扱い

  1. 2013/9/5以後に開始した相続は新法適用
  2. 2001/6/30以前に開始した相続は旧法適用
  3. 2001/7/1~2013/9/4の間に開始した相続は確定となった法律関係には影響なし

福永氏が無くなった2005年に遺産相続がトラブルなく行われていたとすると、婚外子である真里さんの受け取れる遺産は、長男などの嫡出子の1/2でした。

しかし法律改正によって、2013年9月5日以後に開始した相続は新法が適用されることとなりました。裁判が長引き、2013年9月4までに相続が確定とならなかったため、真理さんの受け取れる遺産は、嫡出子と同等となりました。

嫡出子と同等の遺産を受け取れるようになったとはいえ、日本リプトン創業家は1996年頃までに株式などの名義を長男ら親族に移しており、莫大な財産の多くが、遺産とならないように対策されていたといわれています。

相続対策が上手にとられていたからこそ、30億もの財産を築いたといわれる福永氏の遺産が、2013年の京都地裁の判決で「約3億」と認定されたのではないでしょうか。

婚外子が嫡出子と同等の遺産を受け取る権利を取得したとはいえ、事前の相続対策で遺産そのものの額が低く抑えられていれば、最終的に受け取れる金額は低くなります。

もし相続対策がとられておらず、30億がそのまま相続財産として残されていたとしたら、真里さんが受け取れる遺産は数億になったはずですが、総額が3億では取り分は600万円ほどにしかなりません。 相続対策の重要さがわかる一例といえるでしょう。


​この記事は 2016年02月26日 に公開されたのものです。

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